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絞り染めと浮世絵【最新作】

京都絞り工芸館
【浮世絵】版画と絞り染めの共通点!!

京都絞り工芸館は、浮世絵を絞り染めで表現する挑戦を続け30年

1995年に葛飾北斎「富嶽三十六景」全46枚の制作を皮切りに、歌川広重「東海道五十三次」全55枚など、伝統技術を活かした新たな芸術表現を追求してきました。


版画は色を一色ずつ重ねて作られますが、この技法は伝統工芸の「絞り染め」と驚くほど似ています。


版画も絞り染めも全ての工程が分業で行われます。

大きく分けるとこのような工程になります。


版画(絞り染め)


版元(京都絞り工芸館)

絵師(下画工程)

彫師(絞り工程)

摺師(染色工程)

完成



今回の作品は写楽の代表作「市川蝦蔵の竹村定之進」を、着物、裃、顔、髪、襟、背景の順に色を重ねて、版画と同じような工程で作品を制作することにしました。



一枚目:着物部分のみの染色


二枚目:着物、裃、顔の染色


三枚目:着物、裃、顔、髪の染色


四枚目:全箇所染色



色が徐々に重なっていく面白さをより分かりやすく表現するために、4枚の生地を使用し作品を制作します。



近日、この共通点を活かした最新作品を公開いたします。





絞り染めの作品を制作するには各工程の多くの職人が携わらないと完成しません。

制作を開始する前には念入りな打ち合わせを行います。


本当に制作可能なのか、どうすればより素晴らしい作品になるのか、

各職人さんの意見を聞き、まとめていきながら作品の構想を練っていきます。


使用する生地、染色する色、絞り技法、携わる職人などを制作開始前に全て決定します。


下画職人と打ち合わせ
下画職人と打ち合わせ


【下画職人】

まずは下画職人へ型紙の制作を依頼します。

完成した型紙をもとに、青花を用いて生地に下画柄を刷り込んでいきます。

下画を生地に刷り込みます
下画を生地に刷り込みます



【絞り職人】

絞り職人はこの刷り込まれた印にそって生地を縫ったり絞ったりします。

糸を縫う職人、生地を絞る職人、違った絞りの技法ごとに違った職人が生地を絞ります。

全ての縫い作業が終わると、細かな絞りから括っていきます。

縫い締め絞り、帽子絞り、染め分けの下準備として綿の糸で生地を縫います
縫い締め絞り、帽子絞り、染め分けの下準備として綿の糸で生地を縫います

青花で印された箇所を絞っていきます
青花で印された箇所を絞っていきます


全ての縫い工程、細かな括り工程が終わると、地入れ(生地を水、またはお湯の中に漬け込み、青花を生地から取る作業)を行います

細かな疋田絞り部分が全て括られた状態の生地 地入れ後
細かな疋田絞り部分が全て括られた状態の生地 地入れ後


細かな絞り技法部分の括り作業が終わると、次は染め分けを行うための絞り技法を行います。

糸入れ(縫ってある糸)と樹脂でできた芯を使いながら、特殊なビニールで生地を覆い、麻の糸でしっかりと括ります。



【絞り職人】

最高の腕を持った絞り職人が、このような非常に複雑な染め分けの絞りを行います。

【染色前】染めたい箇所をビニールの外へ出し、染めたくない箇所はビニールの中へ入れて防染します
【染色前】染めたい箇所をビニールの外へ出し、染めたくない箇所はビニールの中へ入れて防染します


絞り工程が終わると、括り忘れなどがないか、生地を何度も確認し染色工程へと進んでいきます。

本作品の一色目は着物部分を赤橙色で染色します。

【一色目染色後】ビニールで覆われていない部分が赤橙色(着物部分)に染まりました
【一色目染色後】ビニールで覆われていない部分が赤橙色(着物部分)に染まりました



染色後は糸切りバサミなどで生地を破かないよう慎重に糸解きます
染色後は糸切りバサミなどで生地を破かないよう慎重に糸解きます
着物部分 染色後 糸解き後 (4枚分)
着物部分 染色後 糸解き後 (4枚分)

まずは着物部分のみがしっかりと染め分けで染色されました。


本作品は4枚の生地を使って、色が徐々に重なっていく面白さをより分かりやすく表現するため染色はもちろん4枚分です。



このように生地を防染、絞り → 染色 → 解き → 絞り → 染色 → 解きの工程を何度も繰り返していきます。



染め分け部分をしっかりと括らないと染料が滲み込んでしまいます。

また染め職人の染色技術も大変重要になってきます。


【絞り職人】と【染め職人】が、お互いの技術をしっかりと理解し合うことで素晴らしい作品が完成します。



【染め職人】

指定された色にしっかりと染め上げるのが染め職人の腕の見せどころです。

染め一筋50年以上の染め職人が色見本と全く同じ色に生地を染め上げます!

色確認 右側生地が裃部分 染色後
色確認 右側生地が裃部分 染色後
裃部分 染色後 接写
裃部分 染色後 接写

裃部分の次は、顔と手の部分の染色です

左側が顔部分 右側が手部分
左側が顔部分 右側が手部分
着物(赤橙)と顔部分(ベージュ色)が滲みなくきれいに染め分けられています
着物(赤橙)と顔部分(ベージュ色)が滲みなくきれいに染め分けられています



【湯のし職人】

解きたての生地には絞りの立体感が強く残るため、生地は湯のし職人のもとへ渡ります。


生地の裏から蒸気をあて生地を伸ばし、絞りの立体感を絶妙な具合に残します。

また生地のツヤをより美しく出していきます。

解きたての生地
解きたての生地

湯のし後
湯のし後


下画、絞り、染色、解き、湯のし、多くの工程、職人のもとを経て作品は完成します。





2025年3月

1枚目と2枚目が完成しました。


1枚目は着物部分のみが染色された作品です

顔や手、襟部分が想像できますか??

一枚目
一枚目


2枚目は着物、裃、顔と手の部分が染色された作品です。

顔と手が染色されたことでより全体像が見えやすくなってきました。








さぁ、3枚目、4枚目は現在も制作中です!

もう少しで4枚全てが完成します!



完成次第作品展示予定(2025年4月中)


乞うご期待!


続く



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